市川真人氏(「早稲田文学」プランナー/ディレクター・文芸批評家・教員など) 岡 康道氏(TUGBOAT代表) 津田 大介氏(メディアジャーナリスト) 萩野 正昭氏(株式会社ボイジャー代表取締役) 、 一青 窈氏(歌手) 村井 智建氏(AppBank主宰)、 横里 隆(ダ・ヴィンチ編集人)
大賞(賞金100万円)、文芸賞、書籍賞、コミック・絵本賞、特別賞、 読者賞(賞金各10万円)
1月6日より当サイトおよびtwitterにて候補作品エントリー作品受付。一次選考を経てノミネート作品を決定、審査員による二次選考を実施して大賞および各部門 賞を決定。読者賞については2月5日より読者投票を実施し、読者投票集計をもって決定します。
2011年4月27日(水) に発表会開催
株式会社メディアファクトリー
ダ・ヴィンチ電子書籍アワード実行委員会
※現在閲覧可能な端末/iPhone・iPad・iPod touch
このたびは、大賞という大きな賞をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。自分の作品の中では珍しく、たくさんの人におもしろいと言っていただいた本アプリですが、最終的にこうした願ってもない賞までいただきまして、とてもうれしいです。特に2つの点でうれしいです。1つは、ただ紙の本をそのまんま電子化するだけじゃつまらないじゃない、スマートフォンならではの要素が入っていないともったいないじゃないと思っていた点が評価されたこと。もう1つは、弊社のような超小規模ソフトハウスが自分たちの力だけで企画製作から販売までしたアプリが評価されたことです。後者は、うちと同じようなことを考えてらっしゃるソフトハウスさんに、少しだけ精神的なプレゼントができたんじゃないかなと思って、うれしいです。
森川幸人
大賞はほぼ満場一致で決定。記念すべき第1回大賞を射止めたのは、虫たちの生殖活動をシンプルな動く絵本にした「ヌヌカの結婚/テロメアの帽子/カルシノの贈り物」。「電子"書籍"としてのバランスのよさという点で、頭ひとつ抜け出ていた。たんに足し算ではなく、引き算のできている作品。ユルさを前面に押し出したアプリが海外市場では珍しいという声も参考に、新しい風を送り込むという意味でも意義ある受賞」(市川)。「楽しく学べて、心地良い音楽に身を委ねられる絵本。変にギミックに懲りすぎるインタラクティブ絵本が多い中、操作で悩むところもほとんどなく、スムーズに読み進められた。iPadのスピーカーで聴いたときに気持ちよく耳に入ってくるよう設計された音楽も素晴らしい。大人も子どもも楽しめる間口の広さ、押し付けがましくない点が評価できた」(津田) 。
電子版『歌うクジラ』は、(株)グリオという音楽制作・ITベンチャーの会社との共同作業でした。プラットフォームとの交渉、小説本文の校正とレイアウト、アニメーションのデザイン、坂本龍一の音楽の挿入など、作業は多岐に及び、全員睡眠時間を大幅に削って、「リッチコンテンツとしての小説」という新しいジャンルの創造に挑戦しました。若いスタッフとの仕事は、わたしにとって至福のときでした。小説家になって35年経ちますが、事実上の「共同作業」を経験したのははじめてでしたし、全員が「まったく新しいことに挑んでいる」というモチベーションと充実感を共有していました。グリオとわたしはその後「G2010」という会社を創設したのですが、すべては『歌うクジラ』からはじまったのです。だから、今回の受賞をとても喜んでいます。
村上 龍
「ギミックよりもまず内容を重視せざるを得ないのがこのジャンル」(横里)という言葉通り、純粋な作品としての良し悪しとギミックの優劣のバランスに選考委員は頭を悩ませた。最後まで残ったのは「歌うクジラ」「死ねばいいのに」の2作品。一時はW受賞にとの声も上がったが、独自で電子書籍を制作・販売する新会社を設立し、"電子書籍元年"を大きく後押しした村上龍のパイオニアとしての姿に票が集まった。「作家自身がリスクを厭わず自力で会社を設立し、新しいことに果敢に挑戦しようとしたその姿勢を評価したい」(萩野)。「管理社会とそこからの逸脱、南米的熱狂など、村上龍が書いてきたモチーフが詰まった作品。文章の力も飛び抜けて強かった。"電子書籍"としての特徴や読書ギミックが文芸部門では全般にまだ弱いが、村上さんが引っ張ってくれることに期待する」(市川) 。
イリノイ州中部に生まれ、広大な平原で育った私にとって、遠く小さな島国・日本は神秘に満ちていました。配電盤がめぐらされた両親の地下実験室で"電気街・秋葉原"の 存在を知り、街にあるに違いない夢のような部品の数々を、ひたすらに思い描いたものです。そうして1995年、ついに訪れた日本で私が目にしたのは、夢見た以上に魅惑的で、魔法のようにすばらしいものばかりでした。以来、何度も日本へ足を運びました。この美しい国を見せたくて、子どもたちを連れて行ったこともあります。そんな、尊敬してやまない日本の方々が私の作品を気に入ってくださり、さらには賞に選んでいただき、これ以上の喜びと名誉はありません。この度の賞を贈呈していただけることを、心より光栄に思います。
セオドア・グレイ
「このアプリなら1万円でも買う人がいる!」という発言も飛び出して、選考の場を大いに沸かせたのが「元素図鑑」。世界をかたちづくる根源118個の元素が、美しい写真と科学的知見に基づいたユーモア溢れるエッセイによって解説される。大賞と僅差の高得点をマークして、書籍部門の1位に選ばれた。「『元素図鑑』を見るためだけにiPadを買ってもいいくらい、マニアにはたまらない出来。iPadを最初に買った人たちが、一様に揃って惚れ込んだアプリです。私の周囲のいい大人たち、とくに理系男性はこのアプリを見ていると全員コドモに戻ります」(村井)。「ときめきました。これは学生の頃に欲しかった。しかし想像力が一番多感な時期にこれを見てしまうのはちともったいないかも、という懸念もなくはない。音楽(English)が韻を踏んでいるのも面白い!」(一青)。
『センネン画報』はブログで連載している自主制作漫画です。同名の書籍化を経て、iPhoneアプリになりました。アプリ制作の際は、1ページという形式や、サイレント漫画であること、静かな空気感などを最大限に生かしていただきました。海外の読者を想定し、簡単な解説をつけました。アプリの可能性である、「動く・音が出る」という要素をなくし、静かな作品という本質をよく理解し作っていただけました。iPhoneの手のひらサイズになって、より読む人それぞれの日常に沿う作品になれた気がします。わたしは絵や漫画を描くことしかできないので、よき制作者・編集者に出会えることが最も大切なことだと思っています。今後も「電子」や「書籍」という形にこだわらず、作品の持つ世界観とメディアを生かした「プレゼント」をつくっていきたいです。
今日マチ子
選考委員が全員内容を高く評価したのが今日マチ子の『センネン画報』。電子書籍版には著者の一言解説&描きおろし作品つきという特典と、115円というプチプライス、そして「紙でも電子でもいい意味で読後感が変わらない」という独自の世界観が高く支持された。「言葉が洒落ているし、ストーリーのセンスもいい。これが実際の本だったら僕のようなオジサンは恥ずかしくてとても購入できないが、電子書籍なら気軽に買えるのがいい。電子書籍というものが好きになる気がした」(岡)。「著者の一言解説がとてもいい。今日さんの表現は、まるで俳句や短歌のように読み手の解釈にゆだねられているが、その正解を示してくれているようで二重に楽しめた。著者解説が必要かどうかは好みの分かれるところだが、それゆえに表示する、しないを選択できるのは電子書籍ならではの機能だと感じた」(横里)。
この度はダ・ヴィンチ電子書籍アワード特別賞という、私がかつて頂いたアカデミー主演女優賞を返上してでも欲しかった賞を頂くことができ、感激で言葉もありません。「特別賞は次回から高田純次賞と名を変えるかもしれませんね」と担当編集者が浮かれていましたので、「何を大それた事を言ってるんだ!」と叱りつけたところです。今回から始まったこのアワードが、今後益々発展される事を願い、そして、「芥川賞」「直木賞」「高田賞」と並び称される事を願って受賞の言葉と致します。
赤羽ハリウッドから愛を込めて 高田純次
「操作感、ボリューム、内容の適当さ。すべてがiPhone読書に最高にマッチ。Mr.電子書籍=高田純次といっても過言ではない!」(村井)。「こんなに笑ったのは大学卒業以来。電子書籍の"軽さ"は高田さんによく似合う」(岡)。
※現在閲覧可能な端末/PC
この度は、ダ・ヴィンチ電子書籍の「特別賞」を戴き、ありがとうございました。Jコミは、現役の漫画家が設立したということもあり、「ネット上で違法に流通する漫画ファイルへの対抗策」、「絶版マンガの著作者に、労せずして再び収入を」という、主に"作者本意"の目線を持つ会社となっております。しかし、設立した本当のきっかけは、「古い絶版マンガが手に入らないので、もっと自由に読みたいなぁ(笑)」という読者的な欲望が大きく、更にこのような賞まで戴いてしまい、若干申し訳ないという気分もいたします。今後も、作者と読者の両方に愛される企業として成長していきたく思っています。
「絶版マンガを広告付きで配信し、作者に還元するプラットフォームを作り上げるという素晴らしい取り組み。これを作者自らがやるところに意味がある」(津田)。「作者と作品・出版流通・読者のいずれもが納得できる地点を模索している姿勢を評価したい」(市川)。
『おとえほん』は音楽家・守時タツミさんの熱い想いから生まれました。絵本の読み聞かせという親子の大事なコミュニケーションを、iPadやiPhoneを使ってより素敵な形でサポートしたい、そんな想いで関係者一同、心をこめて創りました。心地よいオーケストラサウンドとかわいいイラストを楽しみながら、家族全員で使って頂けたら嬉しいです。また『おとえほん』は英語・韓国語展開を始めており、世界中の家族に届けていきます。今後のシリーズ拡大にぜひご期待下さい! 受賞に当たり、アプリを利用してくれているユーザの皆様、App Storeという素晴らしいプラットフォーム、アプリを紹介してくれているレビューサイトの皆様、様々な形で刺激を与え合っているアプリ開発者の皆様、全員に深く感謝致します。本当にありがとうございます!
エキサイト株式会社 岡田英之
※この作品は2011年2月5日〜25日の間に特設サイトで受け付けた、一般読者からの投票250ptを獲得し読者賞を受賞しました。
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